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なにかが入って、なにかが出る

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プレミアムフライデーは、プレミアムなフライデーを日本国民にもたらしてくれるのだろうか…

ビジネス 文化 雑記

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photo credit: gunman47 Close up of the Singapore skyline at blue hour via photopin (license)

 

こんにちは。てけです。

 

いよいよ2017年2月から、プレミアムフライデー制度が始まりますね。毎月末の金曜日は、午後3時 (15時) が定時になるという試みです。2017年2月には、2/24 (金) に第一回プレミアムフライデーが待っています。日本政府からも、こんなおしゃれなウェブサイトができています。

 

premium-friday.go.jp

 

イェ━━━━━ヽ( ゚Д゚)人(゚Д゚ )ノ━━━━━━ア!!

 

日本政府 (経済産業省) と経団連の思惑通り行けば、本当に最高の試みだと思います。

 

しかし、半世紀くらいに渡って、サービス残業長時間労働が染み付いてきた日本で本当にこの施策がうまくいくのか、本当に不安です。プレミアムフライデーを掲げた政府や公的機関で働く公務員や、経団連に入っている大企業には、おそらく導入はされるのでしょう。しかし、僕は、このような悪夢が起こるのではないかと少し懸念しています。例えば…

 

  • 定時が早まるので、朝の出社時間を上司によって早められ、結局プレミアムフライデーの労働時間はあまり短くならない可能性。
  • 裁量労働制の場合は、「そんなの関係ねぇ!」となる可能性。
  • 定時が早まっても、それをいい機会に、社内での飲み会を放り込まれてしまい、せっかくのプレミアムフライデーを満喫できない可能性。
  • ノートパソコンとWi-Fiルータが支給されている企業では、"持ち帰り残業" が蔓延するようになる可能性。
  • プレミアムフライデーの (隠れた、しかしかなり大きな) 利点は、平日にしかできないことができる点にあります。例えば、 役所に行く、郵便局に行く、銀行に行くなどです。しかし、公務員や郵便局員、銀行員もプレミアムフライデーで早く終業してしまうと、結局平日にしか空いていない施設も利用できなくなってしまう可能性。

 

こういったことが避けられるような施策も合わせて考えないと、プレミアムフライデーも絵に描いた餅になってしまうのではないでしょうか。そのようなことを防ぐためには、例えば…

 

など。

 

僕がざっと挙げた施策は、浅い考えのものが多いかもしれません。しかし、プレミアムフライデーを理想で終わらせないために、確実な遂行のための施策も必要だと感じています。

 

そして、さらにいってしまえば、

 

国がここまでお膳立てしないと長時間労働から脱却できない日本の労働環境に疑問をもつべき

 

なのです。

 

そもそも、明確に労働基準法などの法律によって規制されている労働環境に対して、あれやこれやと抜け穴を使って脱法し、長時間労働をし続けられる日本の労働環境がそもそもおかしいのです。

 

現在、この恥ずべき事態は、海外でも数多く取り上げられています。このままでは、欧米諸国のみならず、シンガポールなどの高GDPを稼ぎ出す国や、インドのように圧倒的に理数系に強い人材を有する国から来たエリート層がこぞって日本で就業することを敬遠しかねません。

 

例えば、電通の事件は、アメリカではUSA TODAYに取り上げられ、悲しい日本初の英語であるkaroshiとともに、大々的に民衆に伝えられました。これは恥辱です。

 

www.usatoday.com

 

他にも、イギリスのIndependent紙も、日本のkaroshiの現状を緻密な取材内容とともに、生々しく伝えています。

 

www.independent.co.uk

 

よりプレミアムフライデーをプレミアムなものにするためには、「プレミアムフライデー」という響きの良い言葉で飾り立てた、絵に描いた餅になりかねない施策よりも、この機会に、長時間労働を根本的に減らすための施策と文化を真面目に考えなければなりません。

 

僕は、会社の経営はしていません。しかし、あるボランティア団体の東京代表をしています。その中で、絶えず自分自身に問うている言葉が2つあります。

 

自分の働いている姿を、自分の恋人や友達、将来の子供に見せられるか。

自分の運営しているボランティア団体に、自分の恋人や子供を入れたいと思うか。

 

この2つの質問のうち少なくとも一つにNoがついた瞬間に、運営の成功には黄信号がともると考えています。

 

今部下を持っている人たちは、自らに問うて欲しい質問があります。それは…

 

自分の部下を、自分の家族に会わせることができるか。

 

やましいことをしておらず、部下との信頼関係をしっかりと築けていれば、会わせることに対して、抵抗は少なくなるはずです。むしろ自分の自慢の部下として、家族に合わせたいと思う人もいるかもしれません。

 

加えて、この質問にYesと答えられる人は、家族と会社の人間 (特に部下) への接し方に大きな違いがない人として、信頼できる可能性が上がります。仮に部下に対して厳しく接していても、家族に対しても厳しい姿勢が貫かれていれば、「あぁ、この人は根っから厳しい人なだけなのだ。」となり、性格の一貫性を感じて、ある意味悟りますし、諦めますし、そして信頼もできるようになります。

 

日本人には、ソトとウチの差が激しすぎる人が多すぎるのです。僕はアメリカで、傍若無人な振る舞いをしている日本人をたくさん見て来ました。日本ではまずありえないほどの図々しさです。「旅の恥はかきすて」なのでしょうが、大間違いです。

 

会社の中も外も関係ないのです。家の中も外も関係ない。自分よりも立場が弱い人にだけ傍若無人に振る舞う人がいれば、それはあり得ません。どこでも誰とでも、最低限の礼儀は必要だと僕は思います。

 

さらに、この日本にはびこる長時間労働文化以外にも、プレミアムフライデーに障害となることがあると考えています。それは、大企業や公務員と中小企業間の温度差です。

 

個人的には、プレミアムフライデーを公務員や大企業だけが導入してもあまりうまくいかないと考えており、公務員や大企業よりもむしろ、中小企業への導入を促進した方がいいと考えています。なぜならば、ビジネスは相手がいてこそ成り立つものだからです。大企業の下請けとして機能している中小企業はたくさんあるでしょうし、大企業のような9時-5時の労働時間とは別の枠組みで運営されている中小企業もたくさんあるでしょう。そんな中で、大企業だけがプレミアムフライデーを導入しても、取引に支障が出て来てしまいます。片方は利益を上げるチャンスなのに、肝心の相手が休んでしまっているのですから。

 

国によっては、労働者のプライベートを尊重して、「早退したの?じゃあ帰ってきたらやってもらえればいいよ。」となっておしまいな場所もありますが、日本はそのような環境になることはまずないでしょう。なので、「取引相手が休む」ことをけしからんと思っている人が多い日本では、大企業と、中小企業の両方が同じ土俵に乗る必要があると僕は思うのです。

 

しかしながら、DeNA Travelの調査によると、2017年1月11日~15日においては、プレミアムフライデーの導入予定がない企業が55.0 %に登り、導入を決めかねている企業も42.8 %に達していることから、合計すると97.8 %の企業が導入に否定的あるいは、未確定な状況になっています。最悪のケースでは、この未確定な層が全て導入なしとなる可能性もあるわけです。

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出典: DeNA Travel, ITmediaビジネスオンライン

 

こうなってしまうと、経済産業省をはじめとする日本企業が推進するプレミアムフライデーが全く意味を成さなくなってしまいます。

 

こういったことから、僕は、枠組みとしてのプレミアムフライデーの導入を推進するだけで満足せずに、この機会を良い機会として、抜本的に労働時間を短縮できるように文化を変えていく必要があると思っています。

 

僕はアメリカの複数の研究室で働いた経験もあります。(残業代がしっかりと出て、コンプライアンスもしっかりとしていましたが、それは研究室が自分自身を守ることにもつながっているとお伝えしました。)

 

arts-and-sciences-in-society.hatenablog.com

 

 

加えて、その研究室では、より具体的に言えば僕の上司も、あれやこれやと労働時間を短縮する工夫をしているのです。例えば、次のようなやり方で、仕事の時間を短縮していました。

 

  • 実験の方法など、わからないことは、いかにくだらない内容に思えても、とにかく詳しそうな人にすぐ聞く。聞かれる人も、嫌な顔一つせずに対応する。
  • 大人数の会議をほとんどセットしない。聞きたいことがあれば、直接聞きたい人にアポを取って会議をする。参加者は、発言をする必要のある最小限の人数に留める。
  • 実験の結果をまとめるエクセルのフォーマットを可能な限り統一しておくことで、誰が作っても同じようなエクセルになるようにする。
  • 欲しい結果だけ共有し、欲しい結果を得るための道筋には、こだわらない。あくまでも化学的に正しく、論理的に正確なパスを通って欲しい結果に到達していれば、その過程はあまり気にせずOKとする。
  • 物事に優先順位をつける。このとき、部下につけさせるだけではなく、上司もその優先順位付けに参加し、合意をするまで話し合う。そうすることで、お互いの認識をすり合わせる。

 

などです。

 

他にも、早く帰るための具体的な施策のみならず、次のようなことをよく言葉にして僕に伝えることで、早く帰っても良い空気を作ってくれていました。

 

  • 「明日やれば良いことは、明日やってください。」この一言は、日本では禁句かもしれません。しかし、明日やっても良いタスクを今日しても、明日が楽になる可能性はあまりないですし、疲れた状態で詰め込んでタスクを行なっても、クオリティは上がりません。だったら、今日やることだけやってリフレッシュしましょう。という意味です。
  • 「休める時には休みなさい。戦場が落ち着いている時には機関銃より寝袋が大事。頑張らなくて良い時を頑張って見極めなさい。」これは、休むことも能動的にやらないと体を壊すというメッセージです。よく言われたのは、「戦略的に休む」ということです。これは決してサボれというわけではなく、休める時に休まないと、戦うべき時に力が出ないでしょうということです。風邪の時には、食欲がなくても、水分をとったり、少しでも何かを食べようとするように、仕事をしている時に、休みたい欲が湧いていなくても、能動的に休むことも重要ですと教えてくれました。正直、"能動的に休む"、 "戦略的に休む" という概念は、僕はアメリカに行って初めて知りました。
  • 「あなたが帰らないと私が帰れない。部下を見届けてから上司が帰るようにしないと。だから早く帰ってください。」この言葉は、日本文化と真逆ですね。アメリカでは、Job descriptionという、業務内容を説明する書類を見て労働者側が業務内容に納得した上で労働契約を結びます。その中に、「若手の管理・育成」が入っている場合、上司より部下が遅く残ってトラブルがあった場合、上司側が責任を取らなければいけない場合があるのです。したがって、まず部下をしてから上司が帰るべきと考えている人は、少なくとも私が関わった人たちの多くが共通の認識として持っていました。上司が部下の仕事量をうまく管理しないと、上司が帰れないので、部下に、Job descriptionで規定された以上の仕事を押し付けにくい文化があります。
  • 「頑張っているね。今日は〇〇のタスクだけでもよかったのに△△のタスクもやっちゃうなんて最高だ。もう十分すぎるくらいだ。今日は帰ろう。」アメリカで働いた人たちの多くは、とにかく褒め上手でした。アメリカの文化がそもそも褒め上手を育てるのに向いているのかもしれません。この言葉を発することで、多少お世辞もありかもしれませんが、頑張りをポジティブに評価しているのです。そして、褒める時にはとにかく具体的に褒めている人がとにかく多いので、リップサービスだと疑う余地がなく、気持ちよく仕事ができます。
  • 「素晴らしい。あとは〇〇をやれば今日は早く帰れるよ。手を抜かず頑張って。」この一言は、直接労働時間の短縮には繋がらないかもしれませんが、間接的には、モチベーションアップからの仕事の効率化に繋がる一言です。仕事を楽しく進めることに、僕の上司は最大限の配慮をしてくれました。洞窟の中をひたすら進ませるのではなく、常にゴールを見せることの大切さを学びました。

 

僕は、日本に帰ってきてよく聞くのは、「仕事は我慢だ」という言葉です。「辛いことを歯を食いしばって耐えるのが仕事だ」という意味なのでしょう。しかし、僕は仕事はこのようなものではないと断言できます。優秀な管理者がいると、仕事は本当に楽しくなるのです。

 

僕は、アメリカで最も忙しかった時には、1日16時間くらいを仕事と勉強に費やしていた時期が3年くらいありました。勉強と仕事以外には、何もできないような状態でした。髭を剃るのも面倒になり、髭を伸ばしまくっていた時もありました。でも、不思議とほとんど辛くはなかったのです。それは、絶えず褒められ、明確なゴールを見せられながら仕事をしていたからです。そして、ゴールを達成したら、そこで一旦終わり!一区切りしてゆっくり休む時間を得る自由を与えられていたからです。そして、しっかりと報酬で報われていたのです。仕事は、我慢しなくてもできます。僕は、仕事は楽しいものだと思っています。

 

なので、僕は、プレミアムフライデーで枠組みだけを改善するだけではなく、本質的な負担の軽減に向けて動き出す必要があると思っていますし、実質的な部分だけでなく、労働者が明確なゴールを把握することができ、より褒められ、休日を自由にとる裁量が与えられるような文化になるように、業務内容や労働環境を本気で再設計する必要があると思っています。「仕事は我慢」と思っているうちは、他者にも我慢を強います。その悪循環を断ち切らないと、日本は永遠に、先進国の中で最低レベルの生産性を叩き出し続けることでしょう。そんなの恥ずかしすぎます。僕は、そんなのは嫌です!

 

<追記 (2017.2.25)>

プレミアムフライデー当日である2017年2月24日に、ドミノ・ピザが、「アンニュイマンデー」制度を打ち出しました!このセンスが最高に好きです! (日本のピザの価格が高い気がしているのは置いといて) こちらの方がずっと流行りそう…。

 

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