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ゆば (湯波・湯葉・湯婆) うまし!化学工学を使って、ゆばの味の変化がなぜ起こるのかを説明してみた

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photo credit: PYONKO Manshige Japanese Restaurant via photopin (license)

 

こんにちは。てけです。

 

 

いきなりですが、皆さんは「ゆば」好きですか?

僕は…大好きです!トロッとしたゆばを刺身でいただいて、熱燗か冷酒をいただくのがたまらんのですよ。鍋に入れて、ゆっくりと温めながら食べるのも好きです。

 

ゆばは、何枚もすくいあげていると、だんだんと味が変わっていくけれど、なぜなのだろうか?

そんな僕に、ちょっと前に、知り合いから「宇豆基野 本店」に行こうと提案をされたもので、ちょっと興奮気味で話をしています。東京の北千住駅が最寄り駅のお店で、そこの豆腐料理、特にゆばが絶品なんですよね!

 

www.uzukino.com

 

提案されてから、ワクワクいそいそと「宇豆基野」さんのウェブサイトをチェックしていたら、次のような一文を見つけました。

 

湯波にも種類があり、初めに採れる湯波はさっぱりとした味わい、そこから段々と採るにつれ甘いまったりとした湯波に変化していきます。皆様のお好みの湯波はどれでしょう?作り立てを味わっていただき、湯波の世界を心ゆくまでお楽しみください。

出典: 和惣菜 宇豆基野[うずきの]

(注意) 「ゆば」の漢字には、様々な漢字が当てられており、「宇豆基野」さんでは、「湯波」でした。この記事では、「ゆば」は引用を除いて、全てひらがな表記にしてあります。

 

この一文、まさにゆばの面白さを表しています。鍋に無調整の、搾りたての豆乳を入れてとろ火でじっくり温めると、表面に薄い膜が張ってきます。これが皆さんがおなじみのゆばです。火にかけて一番最初のゆばは、「一番ゆば」と言われ、すくい上げた瞬間にドロッと崩れてしまいそうなほど柔らかく、口に含めば濃厚なクリームを舐めているかのような至福のひと時が流れます。一番ゆばはとても濃厚で、コクがあり、なめらかな口当たりでありながら、後味はすっきりさっぱりとしたゆばです。

 

一番ゆばを食べた後、さらに火をかけていると、また豆乳の表面に薄い膜が張ってきます。二番ゆばですね。ゆばが張ってきたら、すくい上げます。食べます。そしてまた、温まっている豆乳の表面にゆばが張ります、すくいあげます。食べます…の流れで、何度も何度も、ゆばを作り、食べることができるというわけです。しかしだんだんと、後半戦でできるゆばの味や食感は、前半戦でできるゆばの味や食感と違ってくることに気づくかと思います。後半戦でできるゆばは、より食感がしっかりとしてきます。そして甘みが出てきます。

 

しかし、なぜなのでしょうか?

 

本当に細かいことですが、この違いを解明するのも、化学工学が使えます。今回は、ゆばの味の変化がなぜ起こるのかを、化学工学の観点から、お話ししようと思います。

 

 

ゆばの味に最も影響する豆乳の成分

まず、ゆばの素ととなる、豆乳について考えてみましょう。 豆乳に含まれている成分のうち、ゆばの味に大きく関わるものには、以下の3つがあります。

  • 脂質: 大豆に含まれる油脂分です。ゆばに濃厚なコクと風味を与えます。
  • タンパク質: ゆばの膜を作っているものです。ゆばは大豆タンパク質が固まったものです。ゆばが懐石料理によく登場するのは、ゆばを通して貴重なタンパク質を摂ることができるためです。
  • 糖質: 大豆には、糖分も入っています。ゆばにほのかな甘みをもたらします。

これらの物質が、ゆばの中にどのように織り込まれて行くのか、考察していきましょう。

 

一番ゆばを構成する豆乳の成分と味への影響

まず、一番ゆばの場合を考えてみましょう。豆乳には、脂質と、タンパク質、そして糖質が完全に混ざり合っています。このうち、脂質は水との相性が悪いのですが、豆乳の中に含まれている乳化剤のような物質によって混ざり合っています。豆乳のような液体を、専門用語を使うと「エマルジョン」、または「heterogeneous liquid-liquid mixture」(和訳は知りません) と言います。

 

では、豆乳を火にかけていきましょう。火にかけている間、かきまぜていないので、まずは水に浮きやすい脂質が表面に浮いてきます。したがって、一番ゆばや二番ゆばでは、脂質が多く含まれるゆばが出来上がります。この脂質によって、濃厚な、クリームのような舌触りを持つゆばが出来上がるのです。

 

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そして、脂質の多いゆばを堪能しているうちに、だんだんと豆乳の中にある脂質がなくなってきます。すると、異なる性質を持つゆばが出来上がってきます。 

 

 

何枚もゆばをすくい上げていくと、鍋に残った豆乳の成分が変わっていくので、ゆばの味が変化する!

何回もゆばをすくい取った後の豆乳は、脂質が少ないです。すると、脂質の代わりに、豆乳に含まれている糖質が、豆乳のタンパク質でできた膜の中に入ってきます。すると、ゆばに甘みが加わってくるのです。

 

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みなさんが何気なく味わっているゆばにも、化学工学の世界があるのです。工学の中でも、本当にマイナーな科目なので、あまり学んでいる人は多くないのですが、僕は化学工学を学んでから、日常生活で色々なことが発見できるようになり、毎日が少し面白くなりました。これからも、日常生活の中に隠れた化学工学の世界をお知らせしていきますよ!

 

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