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なにかが入って、なにかが出る

カガク (化学・科学) 、留学、資格など、経験談を気ままに発信していきます

化学工学ってどんな学問?学ぶことでどんな仕事ができてどんなキャリアを積めるかを初心者向けに紹介します

化学工学 ビジネス 勉強 化学 科学 資格 雑記

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こんにちは。てけです。

 

 

自分の知っていることって、結構他の人は知らないことかもしれないと思い、勢いで始めたブログですが、結構様々な人たちに読んでもらえて、僕は嬉しく思います。

 

しかし、僕はある事に気付きました。それは

 

化学工学って結局どんな学問なの?

 

という、素朴な疑問に対する答えをまだ書いていなかった事です。

 

「化学工学」って聞いて、どのような学問かを正確にイメージできる人は少ないと思います。機械工学や電気工学のように、学ぶ人が多くない上に、カバーする領域がとても広く、かつ曖昧な学問なので、イメージが湧きにくいのです。

 

正直、僕も最初、化学工学について知った時は、どのような学問か、よく分かりませんでした。正直、化学との違いもよくわかっていませんでした。でも、今なら説明できます。僕の説明が、少しでも化学工学のイメージを湧きやすくするために貢献できたらなと思います。

 

化学工学は簡単にいうとどういう学問?そして、化学工学と化学の違いってなんだろう?

化学工学ってどのような学問かを一言で言うと、僕は、「化学物質をどのように作るかを学ぶ学問」と考えています。より厳密に言うなら、「化学物質の製造装置並びに製造に必要な種々の操作について研究する学問」とでも言えばいいでしょうか。化学とも、考え方が違います。化学は、「化学物質とはそもそもどのようにしてできるのかを学ぶ学問」という考え方に近いと思いますので、化学工学とは視点が違っています。

 

化学工学の成果の結晶として一番分かりやすいのは、化学プラントです。皆さんは、海や川の下流近くに、パイプがウネウネとくねる、美しいプラントを見たことがありますか?あのワイワイガヤガヤモクモクしてる感じのやつです。

 

例えば、こんな感じの化学プラントがありますね。最小限のスペースに、とても緻密にパイプや装置を組んできたからこそ生まれる美しさがあります。 

 

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photo credit: Pieter v Marion Antwerp: Industry via photopin (license)

 

もう少し化学プラントの細部を切り出しているのが、以下の写真です。ほのかに錆びた色合いの表面と、カラフルなハシゴや階段が合わさって、こちらも綺麗です。(ああ、そしてこんなプラントでかくれんぼや鬼ごっこをしてみたい…。)

 

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photo credit: Grey World colourful chemicals via photopin (license)

 

そして、化学プラントの醍醐味は、夜です。夜の化学プラントは、昼に比べて段違いに美しいです。12月は街の様々なところにクリスマス・ツリーが飾られ、綺麗なライトアップがたくさんされていますが、化学プラントは、さらにすごいです。安全を確保し、航空機にプラントの存在を知らせるため、照明を最も目立つように配置していますし、エネルギーもりもりの工業用電力で光らせていますから、そこらへんのライトアップとは比べ物になりません。

 

地上から見てこのきらめきです。航空機に乗っていると、このきらめきを空から見ることができます。本当に、宝石箱や万華鏡を見ているような気分になれますよ。 

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photo credit: _perSona_ repsol via photopin (license)

 

化学プラントからは、たくさんの水蒸気や煙が出ていることもあるので、その煙にライトの光 (や夕日の光) が反射し、綺麗に色づく時もあります。これもまた、いとをかし。いい眺めです。

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photo credit: Vermin Inc Smokin Joe Toxic via photopin (license)

 

 

夕焼けどきになると、プラントの表面に西日が当たって、美しく染まります。シューティングアクションゲームの背景にありそうな感じですね。

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photo credit: uptownguydenver Amoco Chocolate Bayou Plant via photopin (license)

 

同じプラントでも、昼と夜とでここまで変わります。エネルギッシュな昼の顔ときらびやかな夜の顔、あなたはどちらがお好き?

<昼>

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photo credit: alpoma Refinería de Petronor (Bilbao) via photopin (license)

 

<夜>

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photo credit: alpoma Refinería de Petronor (Bilbao) via photopin (license)

 

 

いかがでしたでしょうか。2015年に、「工場萌え」と言う単語が話題になりましたね。化学工学屋は、化学プラントで何を、どのように、どれくらいの速さで作るか、そして、どのようなプラントのレイアウトにするのかを設計しますので、まさに、「工場萌え」するプラントは、化学工学屋のアート、魂の結晶なのです。

 

工場萌え

工場萌え

 

  

工場萌えF

工場萌えF

 

 

工場夜景

工場夜景

 

  

そして、僕は化学プラントで、鬼ごっことかくれんぼをしてみたい…。そして、「スネェェク!」と叫んでみたい (まあ、プラント編の主人公は雷電なのだが)…。(*注)

 

 

(*注1) この「スネーク」は、METAL GEAR SOLID (メタルギア・ソリッド、略してMGS) というゲームの主人公の一人です。このゲームはかなりの大作なのですが、そのうちのMGS 2では、海上に流れ出た重油を除染する化学プラントが舞台になっているので、ちょっと重ね合わせてしまいました…。

 

結局、化学工学を学んだ人たちは、どのような仕事をするの?

話を元に戻します。化学工学は、化学プラントと密に関わる学問です。したがって、学部レベルの化学工学屋の多くは、卒業した後に、化学プラントに関わる仕事に従事する傾向にあります。化学プラントをなす各単位 (*注2) の設計、改良、保守、操作などの仕事です。設計や改良を行う人たちをプロセス・エンジニア、保守、操作を行う人たちをオペレーション・エンジニアなどと呼ぶことが多いです。

 

あとは、新しい化学物質をどうやって大量生産するか (スケールアップといいます) を日々考えていく仕事にも、多くの人が従事します。一般的に、単にケミカル・エンジニアというと、この業務につく人たちを指すことが多いです。他にはプロダクト・エンジニアと呼ばれたり、プロセス・エンジニアの範囲に入ることもあります。より上流の研究開発も含めた業務をしている人たちは、リサーチ・ケミカル・エンジニアと呼ばれたりもします。僕は、新卒で入った会社では、このリサーチ・ケミカル・エンジニアとして働いていました。

 

(*注2) プラントの単位とは、化学的な操作をする装置を指します。例えば、化学反応を起こさせるための装置や、不純物を抽出する装置、濾過をする装置、揮発しやすい化学物質をそうでない化学物質から分けるために行う、蒸留という操作をする装置などです。

 

ここまで読むと、「化学工学って学んでもプラント関係の仕事しかできないの?潰し効かないじゃん。」って思う人もいるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。むしろ、化学工学はかなり潰しがきく学問なのです。その理由をお話ししますね。

 

まず、化学工学は、プラント関係のことだけ学んでいるわけではないのです。化学工学は、工学系の学問でほぼ唯一、化学、物理、生物の三科目を高いレベルで学ばなければならない科目なのです。化学工学の世界では、プラントで作られる化学物質についても学びますが、他に、例えば、触媒についても学びます。プラスチックなどの工業製品についても学びます。医薬品についても学びます。そして、人工皮膚や人工心臓、人工血管や人工筋肉の分野も化学工学屋がカバーしますから、生命科学や生命工学についても学ぶのです。大量生産できるかもしれないものについては、一通り学ぶので、本当に膨大な知識をつけなければなりませんが、その後の世界はかなり広くなります。僕の大学の化学工学科の教授は、よくこう言っていました。「君たちは、固体だけでなく、液体も気体も自由自在に操ることができる。すなわち地球上のあらゆる物質を操ることができる。それができる学問は、化学工学だけといっても過言ではない。

 

他にも、化学プラントを建設するには、建設コストや運営コストまで含めた収益性まで考えなければなりませんので、ビジネスの基礎もやります。実は、化学工学屋はビジネスに強い人が多いのです。その証拠に、2016年12月時点において、世界的な外資コンサルティング会社であるボストン・コンサルティング・グループのCEOであるリッチ・レッサー (Rich Lesser) さんは、ミシガン大学の化学工学科出身です。

 

www.bcg.com

 

このように、化学工学科は、他の学部に比べて、幅広い知識をつけなければなりませんので、大変ではあるのですが、その後のキャリアは、本当に幅広く選べると思います。化学工学の本流にのって、化学プラント関係の仕事をする人、触媒の研究をする人、新たな材料の開発をする人のみならず、メディカル・スクール (日本でいう医学部医学科に相当する、米国の医師養成のための大学院) に進学して医師になる人やビジネス・スクールに進学して起業したり、コンサルタントになったり、バンカーになったりする人など様々です。

 

なので、化学工学は、僕は強くオススメする学問です。機械工学科とか電子工学科とかに比べてとてもマイナーなので、熱く語りあえる人が少ないのですが、本当に面白い学問なんですよ。少しでも、興味を持ってくれた人がいたら嬉しいな。

 

そして化学工学について興味を持ってくださった方は、僕に質問してほしいです。こちらのフォームからどうぞ。

 

docs.google.com

 

化学工学のワクワク感、伝わったかなあ?是非是非のぞいてみてほしいです。

 

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