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なにかが入って、なにかが出る

カガク (化学・科学) 、留学、資格など、経験談を気ままに発信していきます

天然藍には抗菌作用や抗アレルギー作用があるなんて!日本の伝統工芸の技術で染めた天然藍染シャツのお話

お題その2「今年、買ってよかった物」

(ここに「今年、買ってよかった物」について書いてください)

 

こんにちは。てけです。

 

 

2016年に買ったもので、よかったものに何があるかなあ…?と考えた時に、頭に浮かんだのは、天然藍で手染めで染められた「天然藍染のシャツ」でした。

 

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こちらのシャツを売っていたお店は、「工房 徳元」さんです。

 

tokugen.co.jp

 

徳元さんの所在地は、こちらです。伝統工芸品の宝庫であり、下町グルメが盛りだくさんの東京都台東区谷中にあります。

 

 

ブログも運営されています。女性ものの藍染商品もたくさん取り揃えてあります。

藍と絹のギャラリー

 

どういう点がお気に入り?

写真の藍染のシャツは、2016年に購入した時には値段が税込で19,440円と、結構お高めでした。しかし、着ごごちが非常に良かったことと、何より「天然藍染」であることが本当に魅力的だったので、奮発して購入してしまいました。

 

このシャツに魅了された理由を、今から3つあげますね。

 

1. 鹿児島の伝統工芸品である大島紬の技法で染められている!10年、20年と日本を見にまとえる幸せ!

経済産業省は、「伝統工芸品」の定義を以下のように定めています。

 

 

  • 主として日常生活で使用する工芸品であること。
  • 製造工程のうち、製品の持ち味に大きな影響を与える部分は、手作業が中心であること。
  • 100年以上の歴史を有し、今日まで継続している伝統的な技術・技法により製造されるものであること。
  • 主たる原材料が原則として100年以上継続的に使用されていること。
  • 一定の地域で当該工芸品を製造する事業者がある程度の規模を保ち、地域産業として成立していること。

出典: 経済産業省「日用品・伝統的工芸品」

 

このように、100年以上かけて研ぎ澄まされた技術で染められた藍染は、工業的な染めに比べて、とにかく深く染まり、そして何と言っても色が長持ちするんです。洗っても、色が落ちにくく、丁寧に着れば、10年、20年と、破れるまで永遠に着続けることができます。100年保つという人もいるほどです。その中で、服の藍色も変化していきますが、その変化も、自然に任せて楽しむことができます。人間の変化と同じで、自然に任せた色の変化って、これまた美しいんですよ。

 

そして何より、伝統工芸品は日本らしさが最もよく表れている製品ですので、「日本を身にまとっている」感覚でいられるのです。海外に行く時こそ、本当の意味でMade in Japanの服を着ると、日本人として誇らしい気持ちになります。

 

2. 天然藍で染められている! 

僕がこのシャツに惚れている一番の理由は、何と言っても、天然藍で染められていることです。これがどれだけすごいことなのか、お話ししたいです。

 

明治頃まで、藍染の服は国民服、藍色は「ジャパン・ブルー (Japan Blue)」でした

サッカーの日本代表ユニフォームは、藍色をしていますね。もともと、藍色は、日本の国民色といっていいほど、本当に幅広く使われていました。江戸時代から明治時代初期まで、藍染屋さんは日本のいたるところにあり、藍染が頻繁に行われているところでは、川が藍色に染まっていたりしていたほどでした。それほどまでに広く広まっていた藍染製品や藍色に驚き、明治8年に来日したイギリス人化学者のロバート・ウィリアム・アトキンソン藍色を「ジャパン・ブルー」と呼びました。天然藍で染めること、そして天然藍で染められた服を着ることは、私たち日本人の生活にとても身近な存在でした。

 

しかし、日本では江戸時代の後期に当たる1850年代に、ドイツの化学会社であるBASFが、人工藍 (インディゴ) の合成に成功してからは、日本から天然藍が急速に姿を消し始めていました。加えて明治維新の流れの中で、人々が和服より洋服を着るようになったことも、天然藍の需要をさらに減少させていきました。

 

しかし、天然藍には、人工藍や合成染料とは比較にならないほど優れている点がたくさんあるので、未だにファンは多いんです。そして…化学工学と化学を学んで、藍染がさらに好きになりました。ここからは、藍染の世界に潜む、化学のお話しをしましょう。

 

そもそも、天然藍って人工藍や合成染料とどう違うの?

「天然藍は、人工藍や合成染料と比べて、深く染まり、色が長持ちする」と書きました。なぜなのでしょうか。

 

結論から言うと、天然藍は「顔料」、人工藍や合成染料は「染料」だからです。

 

天然藍は、藍色の成分を水に溶けやすい形に加工してから、何回も布を浸して染め上げ、その後、色止めという加工をすることで、布の上に乗っている藍色を、水に溶けにくい成分に変えています。そのため、布の上では、粒状になった藍色の成分が、布とガッチリと結びついた状態になるのです。このように、布の上に色の粒を乗せて染め上げる色の成分を「顔料」と呼びます。身近な例では、ペンキをイメージしてみてください。ペンキは、「顔料」の一種です。

 

天然藍は、顔料なので、時間をかけて何度も何度も重ねて染めるほど、布の上に何層にも藍色の層を積み上げることができます。そしてそれぞれの藍色の層は、色止めによって水に溶けにくくなっています。ペンキを塗って乾かすことを繰り返して、ペンキの層を分厚くしていく感じです。水に溶けにくく、分厚い藍色の層が布の表面に緻密にできるので、天然藍で染められた服は、そう簡単に色が褪せたりはしないのです。

 

対して、人工藍や合成染料は、「染料」です。染料は、布の中に色の成分を染み込ませて染め上げます。布の内部に染み込ませると書くと、とてもしっかりと染まるように聞こえますが、実際はそうでもないのです。スポンジが水を永遠に吸収することがないように、布が吸収できる染料の量には限度があります。限度をこえて、染料を染み込ませることはできません。人工藍や合成染料は、天然藍の時のように、自由自在に何層にも色の層を分厚く重ねることができませんので、結果的に、顔料に比べて、色褪せしやすくなってしまうのです。

 

天然藍には、天然の抗アレルギー作用がある! - アトピー性皮膚炎の抑制に効果を示す化学物質が入っている!

2005年、弘前大学の研究グループが、藍に含まれている「トリプタンスリン (Tryptanthrin)」という成分が、強力な抗アレルギー作用をもたらすことを発見し、大きな反響を呼びました。

jglobal.jst.go.jp

要旨はこちらから読むことができます。 

アレルギーやアトピーの皮膚病から人々を救う藍の不思議

 

このトリプタンスリン、2009年時点において、純粋なものだと1 mgあたり約10,000円とのことです。高い!

 

1 mgがどれくらい少ないかというと、一般的に売られている食塩の粒10粒分だそうです…。

study-guide.hatenablog.jp

 

なので、大量生産できないものか、徳島大学を始め様々な研究機関で研究が進められています。

 

2009年の徳島大学の論文では、トリプランスリンには、抗アレルギー作用だけでなく、発ガン抑制作用、そして抗ピロリ菌作用もあると記載されており、藍が万能薬になるのではないかとすら感じさせてくれます

 

なので、服に擦れてしまう人であったり、アトピー性皮膚炎をお持ちの方は、天然藍で染められた服を身につけたり、天然藍のエキスを体に付けたりすることで、アトピー性皮膚炎を軽減できると言われています。

 

もし深い藍色がお好きな方で、皮膚のアレルギーに悩んでいらっしゃる方がいたら、天然藍で染められた服を着てみたり、天然藍成分を使用した石鹸などを使ってみると、何か変わるかもしれません。私は専門家ではないので、治るという断言はできませんが、症状を軽くするという記事は、様々なところで見つけていますので、少なくとも皮膚への刺激が少なく、皮膚炎の抑制効果はあると考えられます。

 

shotaiji.blog.so-net.ne.jp

 

blog.livedoor.jp

 

 

天然藍には、天然の抗菌作用がある! - 体臭や脇臭とはおさらば!

天然藍には、強力な抗菌作用があります。この抗菌成分も、先ほど出てきた、「トリプタンスリン (Tryptanthrin)」という物質です。抗菌作用とは、殺菌作用とは異なり、菌を積極的に殺すわけではなく、菌を増やさない作用のことをいいます。

 

江戸時代には、藍染は作務衣、ふんどし、足袋、包帯などに生かされていました。匂いが気になったり、雑菌が気になりそうな衣類には藍染を効果的に使っていました。経験則として、藍染には抗菌作用があることを知っていたのかもしれません。日本テレビさんが関連記事を書かれていたので、ご紹介します。抗菌効果に加えて、防虫効果もあるようですね。本当にすごい藍の効能です!

知識の宝庫!目がテン!ライブラリー

 

他にも、このような記事があります。こちらにも、抗菌効果と防虫効果、両方記載されています。

aizomebunka.com

 

なので、汗の臭いに悩まされている方や、服の生乾きの臭いに悩まされている方には、天然藍染の製品はオススメなのです。僕自身、天然藍のシャツが臭ったことは一度も経験していないですし、汗をかいても、自分でわかるほど明らかに臭ったことは、少なくとも今まではありませんでした。僕は緊張したり、強いストレスがかかると、たまに脇が汗臭くなったりするので、本当に天然藍染のシャツには、助けられています。

 

真面目に、頃合いを見て追加でまた買いに行こうと思っていますし、少なくとも僕は、天然藍染のファンであり続けたいと思っています。

 

なお、ここで一点注意です! 抗菌作用や抗アレルギー作用があると言われているのは、天然藍から取れた成分です。なので、「天然藍」や「蓼藍 (タデアイ)」を利用した製品や商品かどうか、もし藍製品を購入する場合には、念入りに確認をお願いいたします。人工藍 (合成藍) や化学染料にはこのような効果はありません!

 

3. 藍色が褪せても、染め直してもらえれば、新品の状態に戻る!

この点は、「工房 徳元」さんとお話をさせていただいた中でわかったことなのですが、購入した製品の藍色が、長年着続けることによって色褪せてしまっても、また染め直してもらえるそうなのです。おそらく別に料金はかかると思うのですけれど、それでも、長年にわかって同じ服を着続けられるのは嬉しいです。写真のシャツは、生地が分厚く、しっかりした作りなので、本当に永遠に来続けられそうです。

 

僕は、あまりたくさんの服を持っていません。その代わり、10年以上着続けている服も結構あったりします。大事に服を着続けたい僕にとって、とてもありがたいサービスに感動しました。

 

 

以上です。いかがでしたでしょうか。天然藍染の世界を少しでも多くの方に、お伝えできていたらなと思っています。僕自身感動したので、どうしても伝えたくて…。この記事を読んでくださった方で、一人でも、天然藍染の商品に興味を持ってくださった方がいてくれたら、僕は嬉しいです。同じ製品を買うとか買わない以前に、同じ話題で話できるって、楽しいじゃないですか!

 

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